優秀な社員に退職される前に絶対に考えるべき5つの観点

退職・離職

あなたの会社では、優秀な社員、辞めて欲しくない社員はどれくらいいますか?

ほとんどの企業では、ベテランや業績の高い社員に、辞めて欲しくないはずです。しかし、退職防止の施策というと、給与や配転くらいしか行われていないのが多くの会社の実情です。

今回は、給与アップや配転で「対処する」のではなく、そもそも退職を防止していくための根本的な話をしたいと思います。

退職防止は先手必勝 退職意向は覆せない

まず、社員から退職意向がでても、ほとんどの場合覆せません

だから、退職意向が出ないようにすることが重要です。

私が社員として働いていた時もそうでしたが、「辞めたい」というセリフは、次の見込ができてから発せられることがほとんどです。

私の顧客も、多くが「辞めたい」という社員に対して引き留めをしようとしますが、ほとんど失敗しています。よほど会社が柔軟に対応できる状態でない限り、退職に対して追加でお金を出す、配置転換をする、ということは難しいと思います。

実際、世の中の企業では、どの程度の成功率なのか。エン・ジャパン様が調べたデータがありますので引用させて頂きます。

参照元(https://corp.en-japan.com/newsrelease/2017/3510.html

この図はカウンター・オファー(引き留め行為)の成功率についてです。75%以上の企業が、成功率は30%未満、つまり70%以上は失敗している、と報告しています。退職を引き留めたいと思っても、ほとんどは失敗するんです。

だから、退職意向が出ないようにすることが重要です。

退職防止=働き続けたい会社づくり

退職意向が出てからでは遅い、だから、退職意向が出ないようにすることが重要です。

では、退職意向が出ないようにするというのはどういうことかというと、社員、特に会社にとって重要な社員が「この会社で働き続けたい」と思えるような会社にすることです。

退職の引き留め行為(カウンター・オファー)をしても効果があまりないのは、
・「賃金」「昇進」といった、目に見える形での条件アップを望んでいない
・転職先の方が、条件が良い

ということが考えられます。

色々な理由があるでしょうが、お金や昇給、配置で動かない人に対して「お金をあげるよ」といってもしらけるだけです。「この会社は自分を理解してくれていない」とますます離れていくでしょう。

そうではなく、会社に所属する人が何を求めているかを理解し、それを提供する。社員が得られるような経営をすることです。

別の言い方をすれば、採用では会社が提供できるものを求める人を採用するのです。

もちろん、資金、立地、ビジネスモデルなど様々な制約があります。完璧にすることはできません。できる範囲で構いませんので、従業員が望むことと、経営として譲れないこと、できないことをそれぞれ把握した上で進めていく必要があります。

最初は、真の退職理由を把握するところから

じゃあまずは何を行うか、というと従業員の退職理由を知るところからです。


調査データ紹介:従業員は人間関係を最重要視している

まずは世の中一般の方々がどう感じているかは知っておきましょう。
独立行政法人労働政策研究・研修機構というところが、「従業員の意識と人材マネジメントの課題に関する調査」というものを行っています。

これによると、社員が働くうえで最も重視するものは、
1位:人間関係がよいこと
2位:雇用が安定していること
3位:自分のやりたい仕事ができること

だそうです。

仮に同じ傾向が、あなたの会社にあるとすれば、まずは人間関係の理由を探ることがよいでしょう。

なお、こうしたデータを見るさいに気を付けるポイントは、これらのアンケート調査は人によって感覚が違うということです。

同調査結果では、「賃金が高いこと」を重視する方は約20%でした。しかし、ここでいう賃金が高いというのが「社内では、もらっている方だ」なのか、「学生時代の友人よりも高い」なのか、「世の中の平均よりも高い」なのか、回答する時にイメージするものがバラバラである可能性があります。


退職理由の把握方法:退職アンケートと退職面談

退職が発生したら、なぜ退職するのか、いつから退職を考えていたか、等をアンケートと面談で聴きましょう。

もちろん、ここで引き留め行為(カウンター・オファー)をしておくことは大事です。効果がないとはいえ、やらないよりはやった方が良いです。狙うのは、あわよくば残ってくれるという程度でよく、実際は退職していく理由の本音を聞き出すことを目指しましょう。

人間関係に関すること等、言ってほしくないことであれば他の人には言わないと約束したうえで進めましょう。


退職理由の把握方法:社員同士の会話を教えてもらう

経営者や人事との面談、アンケートは記録に残るという点では良いですが、本音を引き出すことが難しいものでもあります。

そこで次に、退職する社員と仲の良かった社員に依頼をし、退職理由の本音を聞いてもらうという方法を取ります。もちろんここでも守秘義務は守りましょう。

仲の良い社員、心を許している社員にたいして話す、退職の本音を掴むことができれば将来の対策が可能になります。


退職理由の把握方法:後日連絡

退職をしてしばらく経過してから連絡を取る、という方法です。半年、1年程度で一度「新しい環境はどう?」と連絡をいれて、状況を確認しましょう。

そうすると、多くの方は、以前の環境との比較をした情報を教えてくれます。また、時間が経ったからこそ言える「実はあの時は・・・」という情報もあります。

この方法は、過去辞めた人たち全員が情報源になり得るところがポイントです。短期間で見れば、2人、3人しか聴く相手がいないという人は、この方法を積極的に活用しましょう。


退職理由が把握できはじめたら、防止に向けて考え始める

ある程度退職理由が見えてきたら、退職防止=働き続けたいと思える会社づくりに着手していきましょう。

予算やビジネスモデルの制約があるはずですので、これから紹介する5つの観点を基に、自社でできることを、無理なく進めていきましょう。

退職防止の5つの要素(エレメント)

弊社では、「退職防止=社員が働き続けたいと思える会社づくり」に必要な要素を、大きく5つに整理しています。

それぞれが、「社員として、会社で働く価値」につながるものです。

働く目的を明確にする
仕事を考え直す
トータルリワードを高める
マネジメントを改善する
人間関係を改善する

の5点です。

それぞれ、どんなことを考えるべきなのか、お伝えしたいと思います。


働く目的を明確にする

社員にとって、なぜその会社で働くのか、ということを明確にして頂けるように工夫をしましょう。

検討する対象は、企業理念や、ビジョンが分かりやすいと思います。他にも、そうしたビジョン等と社員の考えが合致しているか、社会からみた企業イメージや評判などを見つめなおすと、その会社に対する共感する理由が見えてきます。

賃金が同じなら、同じ職種なら、「この会社がいい、と思えるか?」です。

例えば、同じ人材の営業をするならリクルートさんがいいのか、マイナビさんがいいのか、もし両社から同じ雇用条件を提示されたら?という場面を考えると、想像しやすいかと思います。


仕事を考え直す

社員が行っている仕事は適切か、その仕事で成長できるのか、という点を考えてみましょう。

例えば営業という仕事だとします。テレアポを必死で行っているのか、マーケティングオートメーションが既に導入されており手元に毎週リードが届いている状態なのか。社員の仕事のしやすさは違いますよね。

給与計算担当だとすると、毎月タイムカードが送られてきて直接入力しているのか、それともシステム化されていて、計算だけではなく設計までしているのか、違います。

これが「いまだに○○しているの?」となると、社員は「もっと進んだ会社に」となりかねません。

私自身で言えば、初めて営業をしたときに、エクセルで営業リストを管理して、固定電話から電話をしていました。すると、たまに電話番号を間違えたり、同じ会社に何度もかけたり、ということがありました。CTIを使って、自動で電話したいなあ、と思ってました。


トータルリワードを高める

まず、リワードとは「報酬」のことを指します。トータルリワードとは、「総合的な報酬」です。総合的ですから、月々の賃金だけではなく、評価の結果、得られる賞与や昇進、肩書もそうですし、休暇の種類が多いことも報酬になります。

大事なことは、お金だけではないということです。お金はいらない、ボランティアをやるための時間が欲しい、という社員もいます。


マネジメントを改善する

マネジメントというと非常に広い概念になりますが、ここでは「受ける側の社員」として考えて欲しいです。業績はどのように決まっているのか、ホウレンソウのルールは、業務KPIは何か、というものが含まれます。

上司の性格が、、、などは最後の人間関係に入ります。ルールや会社が決めたものが対象だと考えてください。


人間関係を改善する

最後が人間関係です。経営者や上司への信頼があるか。部下・同僚との人間関係は良好か。こうした点が考えるポイントになります。

マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱する理論に、成功循環モデルというものがあります。そこでは「関係性の質」といって、社員の関係性が変わると業績にも良い影響があると説かれています。

単純に「仲良くなればいい」ではなく、その会社に所属することが、成長や刺激になること、そして人間関係に影響がでるであろう「厳しい話」をしても、関係は崩れないと思えていくことが重要です。

退職防止の5つの要素(エレメント)の考え方

5つの要素を考えていく際、次の点に注意する必要があります。
これらの点を理解していないと、せっかく考えたことが無駄になってしまいかねません。


相互に影響しあうことを理解する

5つの要素は、独立したものではありません。それぞれ、影響し合います。また、一つを決めたら、他も変化することがよくあります。

例えば、会社の目標として「法人顧客を100社」から「○○という個人顧客を1000人集める」と変更したとします。そうすると、マネジメントの際に、何をチェックするかも変わります。


矛盾することはしない

先の例ですが、個人客を狙うなら、マネジメントも「何人の個人にあったか」とか、「メールアドレスの獲得」といった個人に関係した指標になるはずです。目標は個人に向いているのに、日々上司から「法人に訪問しろ」と言われたら、社員は迷ってしまいます。

こうした矛盾は、コンサルタントとして話を聞いていると色々な会社で起こっています。矛盾は社員を突き放す行為だと考えてください。


影響をテストする

何か5つのエレメントを変更しようと考えたら、いきなり「本決定」にするのではなく、どのような影響があるのかリサーチ、テストをしましょう。

また他社の事例を参考にするなら、評価制度だけ、ビジョンだけ、ではなく、5つの要素すべてを確認し、相互にどんな影響が出ているかを考えるといいでしょう。

新しい施策を本格的に進める時のポイント


制度変更は期の変わり目から

給与制度を変える、などの社員の生活に関わる変更は、会社の期の変わり目に実施しましょう。また、事前に通知し、移行期間を設けることをお勧めします。


狙いをしっかりと伝える

何か変更する際には、会社としてどんな理由があるのかをしっかりと説明してください。5つの要素(エレメント)は相互に影響します。何を目指し、どう変えるのか、どんな状態にしたいのかを経営者や責任者の口から伝える事です。

矛盾はダメだと書きましたが、矛盾しているなあ、と社員に思われたら「ああ、また社長が変なことをはじめたぞ」とか、「殿がご乱心じゃ」と言われます。


デメリット(考えられる影響)をしっかりと伝える

変更をすることで、どんな影響があるのか。

もしかしたら、既存の社員にとっては「デメリット」に感じることもあるかもしれません。しかし、それは隠さず伝えることを私は勧めています。どうせばれますし、場合によっては「曲解」されて、間違って伝わってしまいます。

社員のコミュニケーションを、止めることはできません。できることは、なるべく正しい情報を直接届け、解釈の余地を減らすことです。

このデメリットを伝えることは、場合によっては「自社にいてほしくない社員」をあぶりだすこともあります。

まとめ

優秀な社員が辞めないためには、そうした社員が「働き続けたいと思える会社」にする必要があります。そして、そのためには給与をあげるという単純な施策ではなく、自社の人材方針を5つのエレメントを通じて具体的に社員に伝えることが必要です。

トレーナビリティーでは、会社の実情に応じた人事コンサルティングを実施しています。ソリューションありきの提案ではなく、実情に応じて一緒に考え、優先順位をつけてまいります。

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