高校生への就職指導の面白さと矛盾

Trainability 新井です。

先日、府中西高校にて、就職指導をしてまいりました。
昨年11月に実施した授業の振返りと、実際の作文に対するフィードバックが主な内容です。

高校生の就職指導は、ともすると大学生向けよりも楽しく、意義深いと感じます。
彼らは、「就職する」という選択肢に対して、劣等感と、彼らなりの意味を持って臨みます。

大学にいく学力がない、資金がない、親の負担を軽くしたい、早く家を出たい・・・

そんな純粋で、少しの諦めと希望と心遣いがある行動です。

ですから、彼らの志望動機はとても純粋です。
業界や職種への志望理由なんてものは、ほとんどありません。

しかし、実際の就職面接では、上記のような元々の思いは「きっかけ」としては
許されたとしても、本音として志望動機として語ることは敬遠されます。

そもそも、高校生の就職活動には大きな制限があります。

リンクは千葉の労働局の文書なのですが、大学生の就職活動と違い、
会える回数に制限があり、応募数も限定されています。
http://chiba-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/chiba-roudoukyoku/topics/topics219.pdf

応募は1社のみ、10月以降、1回目の応募がダメだった場合は2社まで応募できます。
こんな状況下では
・企業は「その時にいる学生」から選ばざるを得ない
・1発勝負で、ライバルよりも「しっかりした人」と見えなければいけない
こんな状況になります。

加えて、高校生の3年以内離職率は50%と言われています。
つまり、経営者は「採用した人間の半分が辞める」という気持ちで選考をします。

学生も企業も、短い時間で確実に決めなくてはいけない、というモードになります。
当然、双方にチャレンジングなことはしません。無難にこなそうとします。

そもそも高校生には職業スキルがあまりませんから、企業は素直さや
扱いやすさ、辞めなそうか、等でしか判断ができません。

そういう状況下での無難さは「挨拶」「形式的な行動」に集約されていきます。
こうなればなるほど、働く個人の特性は見えにくいですよね。

私はこうした状況下で、それでも自分らしさを伝えるためには、
自分が「高校生活を、どれだけ真剣に過ごしたか」だと思っています。

部活動でも、合唱コンクールでも、授業でも何でも構いません。
その取組過程をきちんと伝えることが、もっとも現実的で、面接でも分かりやすく
その方のらしさを伝える事ができると思っています。

就職指導の時に必ず言っているのは、準備のための準備でなく、
一つ一つを真剣に、取り組んで、その過程を話せるように、書けるようにしてほしいということ。

彼らの一生懸命さは、企業にとって、スキルだけでなく、風土、文化作りとして
将来の会社づくりのためにとても価値があると思っています。