営業が成長する会社 営業が成長しない会社の違い

営業コンサルティング、そして研修や採用等のコンサルティングをしていると、色々な企業を見させていただく機会があります。

そうした機会を通じて経営者の方、人事の方、上司の方の話を聞いていると、営業が成長する会社にはいくつかの特徴があることが見えてきました。

今回はそうした特徴をご紹介します。ぜひ自社の営業組織作りにお役立てください。


営業の成長とは

営業の成長とは、何でしょうか?

多くの企業では、営業の成長を売上で見ています。新人時代は50万円の売上だったのが、毎月300万円ぐらいになってきた。だから成長している、というイメージです。

もちろん、売れるようになることは成長の一つの証でしょう。ただしそれは、個人としての視点です。会社における営業の成長を考える際には、他の要素も入ってきます。

企業の営業成績の要素は、
①外部:マーケットの変化、拡大
②会社:商品力(ブランド、価格、他社との差別化)、マーケティング(リード獲得、認知拡大)
③個人:社員ごとの意識、知識、スキル、行動や態度

という3つに大きく分かれます。

売上が上がった要因が、外部要因や会社要因ということもあるでしょう。実は個人は変化していないにも関わらず、成績があがることもあります。

ですから営業の成長を成果だけで見るのではなく、社員ごとの意識、知識、スキル、行動や態度に着目して測っていくことができればいいですね。

そして、成長したというのはその意識、知識、スキル、行動、態度が「成果をだすために必要なもの」に変わっていく、またはそうしたものを身に着けていく、ということです。

皆さんの自社の営業における「成果をだすために必要な」意識、知識、スキル、行動や態度はどのようなものでしょうか?


営業が成長できる会社の10個の特徴

では、実際に営業が成長できる会社の特徴をご紹介しましょう。全てを兼ね備えようとするのではなく、自社ができそうなこと、マッチしそうなことから取り入れてみてください。

「成果をだすために必要な」意識、知識、スキル、行動や態度が言語化されている

まずは先ほども挙げた、「成果をだすために必要な」意識、知識、スキル、行動や態度です。これが言語化されている会社では、営業が成長していることが多く見られます。

理由は、自分が次に何をすればいいか明確になるからです。

多くの会社では、この言語化ができていないために、もっと頑張れ、ということを気合や根性、または行動の量だけで追及しようとします。

また、言語化を個人の営業やマネージャーに委ねるため、ばらつきが発生します。人の運、ということが起こるのです。

もちろん、このばらつきを完全に均すことは不可能です。しかし、「ここまで行えば、7割は行ける」というレベルまでは可能です。

有名な企業では、キーエンス社では顧客へのアポイントの入れ方、現場で確認する事項、時間の使い方、企画の構成等が、言葉の使い方の細かなところまで「これが現時点のベスト」というものが言語化されています。

評価の仕組みでは「達成したかどうか」を重要視する

評価の考え方にも特徴があります。「売上高」で評価する会社は、売上高が上がったら給与が上がる、報奨金がもらえる、というように給与と連動することが多いです。

そうではなく、「達成したかどうか」が評価の基準になっていることが各社で見られます。つまり、100万円の目標でも、300万円の目標でも、達成したら「おなじ」ということです。

もちろん、目標の差は、等級の差となっていることが多いため給与まで同じにはなりません。しかし「達成した」ことが評価されれば、若手や新人であっても自分の成長を感じられる機会、達成経験を積める機会が増えることになるのです。

なお、「売上高の評価」が悪いとは言いません。しかし、「売上高」だけでは外部要因や会社要因の影響が見えません。会社要因で成果が出ているにも関わらず、営業は自分の力だと勘違いします。

会社要因で成果がでるということは、マーケティングの予算が投じられ、リード獲得、ナーチャリング、ブランディングがされるということです。つまり、個人に求められる営業力は相対的に低くなります。

また、コストが営業外でかかることもあり、マーケティング予算を踏まえてインセンティブ設計をし直すと、支払い金額を下げるという結論に至る会社が出てきます。

営業は、自分の実力で上がった、と思っているので、この給与変更はネガティブに受け止められ、やる気がそがれたり、退職したり、ということが出てきます。

目標設定の際にプロセスも目標に含める

営業が成長する会社の特徴として、評価の対象となる目標設定を、最終的な成果だけでなく、その前工程の重要なプロセスも指標とし目標化していることが見られます。

例えば、テレアポ、商談、見積、受注、という4段階を踏むとします。その際は受注だけで評価するのではなく、見積の提出数も評価にする、というイメージです。

これは、成果の直前の工程を評価しなさい、ということではありません。自社の業績のためにKPIを設定し、そのKPIを評価するということです。
※KPIの設定のポイントは「「KPI=数値管理」は大間違い!成果を出すためのKPIのポイント」をご覧ください。

プロセスを目標とすることで、自分がやるべきことが明確になります。また最終的な成果にならなくても、自分がどこまでは出来ているのかが分かります。つまり課題が明確になるのです。

等級に応じた目標設定をしている

営業が成長できる会社では、目標の設定の際に、等級に応じた数値が設定されているという傾向があります。

人事の考え方からすると、等級と目標を対応させることは当然のことです。しかし、営業職においては、成果目標が一律だったり、等級と対応させているようで根拠がないケースがよくあります。

仕事の習熟度は経験にある程度比例します。自分の習熟度に応じて目標が変化することで、達成感が得やすい、解決すべき課題が常にシンプルになる、というメリットがあります。

この時の注意点は「これぐらいなら、できるだろう」ではなく、等級に求めるレベルよりも少し上の目標を課す、という点です。そうすることで、できる仕事をこなすのではなく、できない仕事にチャレンジすることになります。

守るべきことと、自分で考えられる余白のバランスがいい

仕事においてマニュアルを用意している企業は多いことと思います。ただ、営業職に限ると「営業はマニュアルにできない」という意見からマニュアルを作成しない会社と、やるべきことをルールにしてマニュアル化している会社が多いように感じます。

前者の意見は間違っています。営業のマニュアル化は可能です。おそらくその会社では営業のポイントも言語化出来ないのでしょう。

後者については、そのルールがどこまで及んでいるか、です。習熟度が低いうちは、やるべきことが決まっている方が良いです。最初から自由度が高いと迷ったり、困ったりすることが多くあります。一方習熟度が高くなると、ルールがあることが、心理的な拘束に感じられることがあります。

ある程度の習熟度に応じて余白を増やしていくことで、工夫の余地が増えていきます。それが新しい会社のナレッジになっていくことで、営業が成長できる会社になるのです。

マニュアルだけでなく、ナレッジが共有される場がある

先ほど書いたように、しっかりと個人の工夫が会社のナレッジになることが重要です。そのためには、いわゆるナレッジ共有が欠かせません。

多くの企業ではナレッジ共有がそもそもなされず、マニュアルやただの事例として下ろされるのみです。これでは営業は成長しないでしょう。

ナレッジ共有のポイントは、事例がなぜ生まれたか、どうすれば再現できるか、ということです。この再現性を追い求めることにより、営業が成長できる会社になっていきます。

マーケットの動向を営業に伝えている

営業が成長できる会社では、マーケットの動向が営業に知らされていることが多いです。ビジネスをしていれば、必ず環境は変化します。顧客業界の低迷や、新しいサービスが生まれて自社の優位性が下がることもあります。

人は、変化が起こっているということを認識しなければ、現状維持をしようとするものです。マーケットの動向を伝えることで、変化の必要性が社内に生まれます。それにより営業が工夫をし、新しいナレッジや、自分の成長に繋がっていくのです。

上司が「部下の成長を支援」する

営業が成長できる会社では、上司が「部下の成長」を考え、支援しています。こう聞くと多くの会社では、それが普通と思うかもしれませんが、実際にそれが行動や仕組みになっている企業は多くはありません。

できていない会社では、上司は部下に成長してほしいと「思っているだけ」です。成長するために何かを教えたり、機会を与えたり、またはどんな成長を本人が望んでいるかを気にしなかったりします。

しかし営業が成長できる会社では、上司は思っているだけでなく実際に部下の成長の望みを聞き、何ができるかを考え、実行しています。

具体的には、部下との面談の機会を持ち、仕事のゴール、その先に得たいことを確認する。日々の仕事でどんな変化が出ているかを言語化する、研修にいかせる、仕事で新しい顧客を任せる、等をしています。

上司が部下の成長に責任を持つ

営業に限った話ではなくなりますが、上司が部下の成長に責任を持つ、ということは人が成長できる会社になるには欠かせません。

人が成長する、ということを考えると、その機会は必ずしも研修である必要はありません。上司部下の関係、またはメンターメンティの関係でもいいのです。

営業育成という点でいえば、上司が責任を持つ会社は、営業が育つように見受けられます。部下のために、上司が提案をチェックする、壁打ち相手になる、同行をする、という形でサポートします。

責任を持つ、というのは上司の評価の要素に、部下の成長や成果が含まれるということです。ですから、言葉だけでなく制度としても連動していることで強い効果が生まれます。

有名な例ですとgoogle社では、上司のミッション・評価項目の中に「部下育成」が入っています。部下全体の内、評価が一定基準以下の方が対象となります。その評価が低い部下が、次の評価期間で評価を上げられるかどうか、が上司の評価に繋がるのです。

成長意欲のある人材を採用できる

これは、見る人によっては営業が成長できる「会社」の要素に感じないかもしれません。成長しているのは人材で、その人はもともと成長意欲が高い、と捉えれば確かに属人的な話です。

ポイントは、成長意欲が高い人からみて「魅力的な会社」に見えることです。そして、そこで実際に成長し、活躍する姿が、採用候補者から見て「魅力的な会社」に映ります。

成長意欲が高い人にとってはそうした歴史や風土が魅力になります。そして成長し、言語化され、また新たな人材が入るというスパイラルが生まれるのです。

この点で最も有名な企業といえば、リクルートでしょう。リクルートは成長意欲の高い人材が集まると評判です。そうした人材から見て魅力的に映る要素の中に、「起業家が生まれる会社」というブランドイメージがあります。

将来は自分で独立したいという方は、高い成長意欲を持っていることが多いです。そうした方にとって「起業家が生まれる」リクルートは、かっこうの修業の場になります。そして独立していく。それを見た後輩が、私も私も、と後をついていくのです。


営業が成長しない会社からの転換のポイント

では、皆さんが「うちの会社は、営業が成長しない」と思うのであれば、どのように転換をしていけばよいのでしょうか。

人材に投資する

「成長してほしい、しかし人への投資はしない」という会社があります。そういう会社は、「自分は勝手に成長してきた」という方が制度に携わっていることが多い、または教育研修の価値を数値化できないため投資できない、という状態のようです。

いずれの考え方も、その会社のものですので否定するつもりはありません。ただ、私は成長を期待するのであれば、そこに投資をすることは必須だと考えます。

「成長意欲のある人材」を採用したところで、その会社が人に投資をしないと分かったら、その人材は離れていきます。

研修だけでなく、上司の時間を使わせるということも立派な投資です。上司が関与することで成長できることは多くあります。研修がある、というのは採用上は重要なPRですが、研修よりも修羅場経験や失敗体験で成長することも多いのも事実です。

大変な経験を上司がサポートする、任せる、共に振り返り意味づけする、ということができれば社員の成長は加速していきます。

自社にとっての成長を言葉にしてみる

皆さんの会社における「社員の成長」とはどのような状態になることでしょうか?もし一定のポジションに就くことを成長とするならば、成長できるポストが限られるか、無限にポストを作る羽目になります。

月末に諦めない姿勢、洗練されたトーク等、何でも構いませんので、自社における成長とは何かを考えるところからスタートしましょう。

評価制度を再検討する

誰がどんな意図でつくったか分からないような評価制度が運用されていませんか?

評価制度は会社からのメッセージです。どんな人材を重宝したいのか、どんな人材になってほしいのか、ということを伝える重要な手段です。

社員に成長してほしい、というのであれば評価制度も「会社が成長を望んでいる」ということが分かるようなものにしましょう。

例えば、ロールプレイングや提案書のブラッシュアップなど、営業ができる練習の機会を設けてそれをリンクさせてもいいでしょう。

直接的な半期や年間評価に入れるのが大変なのであれば、表彰という形でも大丈夫です。基本となる行動を続けた社員、継続によって精度が高まった社員をしっかりと報いることで成長が重要だというメッセージが伝わります。


まとめ

いかがでしょうか?営業が成長できる会社のために、まずは何か一つ、取り組んでみてください。 しっかりやれば効果は必ず現れます。

 

上記の概念をより詳しく解説し、かつ現場で使えるようにするための研修・コンサルティングを用意しています。

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