「KPI=数値管理」は大間違い!営業組織が成長し成果を出すためのKPIのポイント

営業をしていると、テレアポや商談(顧客訪問)、打ち合わせ、提案、など、売上や契約になるまでに様々な仕事が必要になります。

多くの会社では、そんな営業の仕事を分解し、「KPI」として管理しています。しかし、実際に私がお手伝いしている会社の多くが、KPIを「数値管理」として使っており、適切な効果が得られていません

そこで今回は、営業が成長するためのKPIの考え方と設定方法、活かし方について書いていきたいと思います。


KPIとは

KPIという単語、だいぶ一般的になりましたがしっかりと使っている会社は少ないように感じます。

KPIとはKey Performance Indicator の略で、「組織の目標達成のカギとなる重要な指標」という意味合いです。

ですから、KPIの達成=組織の目標達成というように連動しなければ意味がありません。ちなみにこの組織の目標を計る指標をKGI(Key Goal Indicator)といいます。

達成のためのカギとなる重要な指標ですから、たくさんあってはいけません。どこにフォーカスするかを明確にするためにも、業務の中で「これが最重要のもの」を見つける必要があります。

これがCSF(Critical Success Factor)です。KPIとはCSFの数値化であり、最終的にKGI達成に連動するものである必要があります。

ここがブレてしまうと、仕事の優先順位がぶれてしまいます。また、何かを改善する際の目安もなくなります。行き当たりばったりの仕事になってしまうのです。

一つの例としてある機械部品メーカーでは、「見積提出スピード3時間以内」をKPIにしています。それは、顧客からのオーダーに対していち早く見積を出すことで意思決定を自社に向けることが目的です。

競合にも同時に見積依頼が出ていて、扱っている商材も機械部品で特段の差別化ができない、、、のであれば早く提供し、早くお客様に楽に使ってもらおうということです。

逆に言えば大まかな価格相場もあり、目立った品質の差もない状態です。ですからスピードが大事になるというわけです。もちろん価格で負けることもありますが、「~~に頼むと、いつもすぐに連絡をくれる」という評価を頂けます。

このように自社が商品で差別化しにくいのであれば、スピードを重視しよう(CSF)、だからスピードの数値化として「2時間以内」を重視しよう(KPI)となります。


間違ったKPIの設定例

ある人材派遣会社での営業中のやり取りです。派遣会社の営業マネージャー15人に向けて研修をしていました。

私が、「御社は、何をKPIにしているのですか?」と聞いたところ、マネージャーからは「テレアポ数、訪問数、飛び込み数、案件数、紹介人数、成約数です」という答えが返ってきました。

「ところで、KPIって何の略で、どういう意味かご存知ですか?」と聞くと、誰からも回答が返ってきません。営業上管理できる数字は全てKPI、という感覚なのです。

これが、典型的な間違ったKPIの使い方です。

テレアポから成約に至るまでのプロセスで、何が最重要なのかが見えていません。そもそも「成約数」という結果をKPIに含めているのもおかしな話です。

数値を管理することは重要ですが、KPIが増えれば増えるほど、組織の達成のためにキーとなる業務が分かりません。

KPIといいながら、数値管理に留まると、全ての数値が重要に思えてしまい、テレアポもやれ、訪問もしろ、飛び込みしろ、と全部頑張れ、というマネジメントになります。

もちろん、(おそらく)やっていることは必要なことですから成果には徐々につながるでしょう。しかし、成果を最大化することはできません。※本当にテレアポが必要なのか、という点は一旦無視しています


適切なKPIを設定して、営業が成長する会社に

適切なKPIを設定すると、営業が成長できる会社に変わっていきます。逆に、KPIが適切でないために、営業の成長が鈍化したり、疲弊して代謝していったりということが起こります。

どのような効果があるか、少しご紹介しましょう。

成果が出やすいので達成感を得られる

適切なKPI=成果を最大化するためのCSF設定です。ここに注力することで成果が連動します。

上手くいった、こうすれば上手くいく、という実感は仕事に前向きになる重要な要素であることはいうまでもありません。

当然ですが、成果が出れば嬉しいですよね。売り上げはすべてを癒すと、サイバーエージェント社の藤田社長も言っていますが、営業にとって成果ほど分かりやすい喜びはありません。

営業自身が「売れるポイント」を理解できる

KPIが適切だと、成果が出やすくなります。しかし、多くの場合疑問も出てくるものです。それは、「本当に他のプロセスは重要度が低いのか?」です。

工夫を容認する会社、社内のコミュニケーションが活発な企業ほど、こうした疑問が出やすく、またやってみる人が出始めます。やってみると、もちろん成果も出てきます。テレアポが上手くいった、商談でこんなことができた、という形でよい面も出てきます。

しかし同時に、CSFを実行できないことも出てきます。プロセスは連動しているのですから、何かをすれば他の工程に影響が出てくる。そして成果が少し変わってきます。

このような経験を通じて、自分の仕事の何が次の工程に向けたドライバになっているのかを理解するようになります。

この経験はマネジメントをする側になったときに更に活きてきます。

独り立ちが速い

KPIが適切だと、成果が出やすくなります。つまり、一人前になるまでに必要な期間が短くなるということです。

もちろん、他のプロセスで教えるべきこともたくさんあるでしょうが、重要な部分ができていますからあとはゆっくりと余裕をもって進められます。

このように営業の育成も、KPI(CSF)を重視し、そのために必要なスキルを身に着けさせることで、成果が最大化します。


適切なKPI設定の考え方

ここまで読んで頂ければ、適切なKPIの設定の考え方も理解いただけたと思います。
改めてステップとしてご紹介します。

ゴール(KGI)設定

自分たちのチームが目指す先はどこでしょうか?売上が上がればそれでいいのですか?その先に見据えているビジョンはありますか?

チームの目指す状態が、ポジティブに共有できなければゴールとしての意味が半減してしまいます。まずは本当に目指すゴールを確認しましょう。

プロセスとCSF設定

次はどのようにゴールに到達するかというプロセスと、その中でも最も重要なものを見つける作業です。やり方は一つではありません。様々なパターンを考えていきましょう。

KPI設定

CSFまで決まったら、それをKPIとして数値化します。ポイントは、数値化できることと、自分たちでコントロールできる要素にすることです。

自分でコントロールできないこと(例えばお客様からの捺印)としてしまうと失敗してしまいますのでご用心を。

トライアンドエラー

設定したCSF、KPIが適切なのか、常時検証していきます。もし違うと感じたら修正してください。

PDCAサイクルならぬ、PDDSサイクル(Plan Decide Do See)のサイクルを回していきます。自分たちは何をするのかを決めて、実行し、また決めるというサイクルです。改善というよりも軌道修正という方がイメージが近いかと思います。

適切なKPIが分かったら、今度はそれを組織に適用しましょう。そこから先は改善が中心です。


まとめ

いかがでしょうか?今回は営業におけるKPIについて紹介させて頂きました。

自社のKPIは「全部」という会社もあるのではないでしょうか。また、独立起業したばかりだと何が大事なのかすら分からない、ということもあるでしょう。

まずは、ゴール設定です。自分たちが本気で目指したいゴールを見つけるところからスタートしてください。

 

当社では上記の概念をより詳しく解説し、かつ現場で使えるようにするための研修・コンサルティングを用意しています。

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