営業職における評価・賃金の仕組および制度と成長との関係性

スキル/スキルアップ

今回は営業の評価制度・賃金制度について記載をします。

営業の評価制度・賃金制度というと、真っ先に思い浮かぶのが「成功報酬制」ではないでしょうか。

売上に応じてインセンティブ(報奨金)を支払うというものが一般的で、経営側からすると売上に応じて支払う金額が変動するので固定費のリスクが少なく、一方で営業側も通常の会社員よりも多くの給与を得られるため頑張ると言われています。

しかし、実際にはそれ以外の評価制度・給与制度でも十分に営業を採用、育成することはできますし成果もついてきます。今回は、営業に関するいくつかの評価・給与制度についてご紹介しつつ、各制度における営業の成長とはどのようなものかを考えたいと思います。


そもそも 評価制度・給与(賃金)制度とは

多くの企業では、評価制度、賃金制度がごちゃごちゃになって運用されています。社内文書上、または制度名称上は分かれているのですが運用する側の脳内で分かれていないため、実際の運用上も混乱が起こっているのが実情です。

保険外交員報酬のように、売上や契約数に応じて給与が100%決まるのであれば別ですが、そうでない場合は、評価や賃金の前提に等級があるものです。

等級とは

等級とは、会社内における「えらさ」の順序のようなものです。例えば、平社員より課長の方が、課長より部長の方が「偉い」ものですよね。会社によってはシニアマネージャーとか、バイスプレジデントとか、色々です。

では評価・賃金とは

偉くなるためには、「こいつはすごいぞ!」と認められる必要があります。これが評価です。で、その頑張った度合に応じてお金が払われます。これが賃金制度というものです。

その会社内における等級がある。社員が、現在どの等級にいるかで与えられる役職や給与が変わります。ですから、ベースは等級だと考えておくと良いでしょう。

よくある年功序列とは?

評価というと年功序列、という単語を思い浮かべる方も多いでしょう。年功序列というと「たいしたことない人が、長くいるだけで偉くなる」と捉えている人が大半ではないでしょうか。

これは何をもって「すごい」と評価するかの基準が違うのです。年功序列では「長くいる」ことが「評価の対象」になっているケースが多くあります。つまり評価の対象は能力ではないのです。※もちろん能力評価もしている会社も多いです

この「評価の対象は会社によって違う」というのは重要な原則です。これを営業の制度に活かすのであれば、「どんな営業を評価したいか」「その評価は、成長を促進させるか」を考える必要があります。


制度と営業の成長の関係性

私は、○○制度を採用すると営業が成長する、という魔法の杖はないという立場をとります。

評価制度を変えて給与アップなどという人もいますが、評価制度を変えても賃金制度が変わらなければ給与に影響がないことも多々あります。

制度を考える際には、自社の状況を踏まえてどのような形であれば営業が成長するのかを考えてください。まずは変動要素をいくつか紹介します。

制度の成功に影響を与える要因 ビジネスモデル

制度は適用しやすい業界やビジネスモデルがあります。自社で使いやすいかどうかや、原資を確保できるかを考えてください。

例えば毎日ルートを回るような仕事で、成果が大きく変動しない仕事に成功報酬制度は向きません。

制度の成功に影響を与える要因 採用時の期待

採用の際に、どんな期待や思いをもって入社してくるのかによって制度が活きるかどうかが変わります。

例えば成功報酬制の場合、「稼げる」という期待を持ってきます。しかし、実際に入社してみたら歩合率が低く、前職と変わらないというケースもあります。これでは会社に残る理由がなくなります。

制度の成功に影響を与える要因 会社の文化

企業内での文化として、お互いにフィードバックをしっかりと行い、切磋琢磨するような会社であれば、どんな制度でもある程度の成長は見込めます。

反対に、お互いが敵、自分のノウハウは明かしたくない、というような文化の場合はなかなか成長が期待できません。自分が成果を出しても、それを周囲に伝えないからです。このような場合はノウハウを社内に展開することが評価されなければいけません。

上司部下の関係性が良く、しっかりと言うべきことが言えるなら、ミッショングレード制度などは特に力を発揮するでしょう。

このように、営業だから、とひとくくりにするのではなく、どのような狙いを持っているのかを改めて言葉にした上で制度を作ってもらいたいと願います。

では、ここからは代表的な制度と営業の成長との関係について記載をします。制度が適応しやすい、しにくい、という考え方や自社の文化との適合の参考にしてください。


等級号棒制度

日本企業で広く一般に用いられているのが、等級号棒制度というものです。先ほど紹介した等級がこまかく設定され、それに応じて給与が上がっていきます。

営業が成長するには等級号棒制度は不向き?

よく、営業は山っ気が強いから、給与が一気に上がらない等級号棒制度は不向きだ、と言われています。

実際にはどうかというと、そんなことはありません。ルート営業のように決まった顧客をしっかりとフォローし、売上や利益、シェアを維持する、徐々に上げていくことが重要なビジネスであればこの制度が適しています。

こうしたビジネスでは一発逆転はあまりありません。地道にしっかりと仕事をすることが重要です。ですから、それを奨励するような制度が適しています。

等級号棒制度のデメリットは?

昇進、昇格、昇給の幅が小さく、思ったような給与に届かないケースです。通常以上の努力をしても報われない、という印象を持たれるケースが多いようです。

そうした、何かしらの努力で新しい顧客を開拓するなどの目覚ましい成果を上げた方は、特別褒賞のような形にすると良いでしょう。そうしなければ努力してもムダ、という風潮が出来てしまいます。


ミッショングレード制度

ミッショングレード制度とは、各等級にミッション(やるべきこと)があり、それに応じてグレード(等級)が決まっているというものです。役割等級ともいわれます。

等級号棒制度と比較し、その等級の段階が少なく、一つ一つの給与差が大きいという特徴があります。一般的に、市場の変化が大きい業界や、異動や職務変更の頻度がおおきな会社で用いられます。

ミッショングレード制度で営業は成長するのか

この制度で営業の成長を促すのであれば「何をミッションとして与えるか」がポイントになります。

最初のうちは「新人として頑張れ」でいいですが、それ以降はメンバーの成長について責任をもってもらったり、新しい市場を作ってもらったりという形で、何を目的にするかが重要になります。

というのも、そんなに頻繁に等級があがるものではないからです。しっかりと会社で役割を明確にし、それをクリアさせていくマネジメントをしましょう。

ミッショングレード制度のデメリットは?

昇給、昇格、昇進の頻度が少ないことです。評価によっては、何年も同じ給与のまま、という状態が続きます。経営する側は成果がでないのであればそれも当然と思ってしまいますが、普通はそうは考えません。

なかなか給与が上がらない、ここにいても…と退職になるケースがあります。ミッショングレード制度の場合は、適切な評価制度と、それを支える育成体制が特に重要といえます。


成功報酬制度

成功報酬制度とは、成績と給与が連動するものです。(本当はもっと細かい定義がありますが割愛します)営業の成功報酬制度を見ていると、基本給がないものと、基本給+歩合という2パターンがよくあります。

基本給がない、ということを雇用でやってしまうと違法です。通常は委託契約という形になります。保険の外交員などはこうした契約形態が多いようです。

もう一方は基本給+歩合です。この場合、成績によって基本給および役職が上がるパターンと、役職が上がっても基本給が上がらないパターンがあります。

成功報酬制度で営業は成長するのか?

この制度ですと、「成長」ということに対する会社側の働きかけが非常に難しいように感じます。

どんどん成長し、経済的にも心も豊かになりたい、という方がいる一方で、成果がでればよい、収入が維持できればよい、と現状維持を狙う人もいます。

この制度で営業の成長を期待するのであれば、徐々に業務難易度が上がっていく、そして社会的な意味や意義もしっかりと伝わっていくようにする必要があると考えます。某外資系生命保険会社では、社会的な意味や意義が営業のドライブになっています。

成功報酬制度がうまく適応できる営業職

ずばり、利益率の高い仕事です。分配率が高くなるのがこの制度の特徴ですから、それを維持するための原資が必要です。自社が高利益体質であることが欠かせません。

成功報酬制度のデメリット

「お金に目がくらむ」ために離職や転職が発生する恐れがあります。これは制度だけではなく採用の問題でもあるのですが、お金につられて入社し、お金につられて退職するのです。

お金が重要なのは誰にとっても同じですが、過度に期待しすぎてしまって「もっともらえると思っていた」と早々に見切りをつけて退職していくケースや、一定の収入を得て「もっと歩合率の高い会社に行こう」と退職していくケースがあります。


まとめ

いかがでしょうか?制度と一口にいっても、いくつかのパターンと、向き不向きがあることが分かって頂けたと思います。

制度変更はしっかりやれば効果は必ず現れます。しかし、面倒です。それは複数の要因が複雑に絡み合うからです。安易にお金で釣るのではなく、しっかりと会社方針と照らし合わせて検討をしてください。

 

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