皆さんは、メラビアンの法則というものを見たこと、聞いたことがありますか?
人は、見た目が9割、という単語と共に多くの方に伝えられる実験結果です。
この法則は、営業研修やセールス研修においては、コミュニケーションに関する必須知識という形で研修やセミナーでは必ずと言っていいほど取り上げられています。
しかし、悲しいことに、色々と拝見していると、間違った情報を紹介しているものが80%くらいを占めると感じます。※当社がWEBサイト等を拝見した結果です
そこで今回は、メラビアンの法則に関する正しい情報をお伝えします。
研修やセミナーをするのであれば、ぜひ正しい情報をもとに実施しましょう。
メラビアンの法則のよくある間違い
メラビアンの法則は、
・見た目を整えれば何とかなる
・人は判断の半分以上を視覚からの情報に頼ってることが判明している
・どんなにいい話をしても、内容は聞いていない
というように、整理されていることが多いようです。
実はこちらは間違いです。
実験を行ったアルバート・メラビアン本人も、正しい情報をこちらのページで発信しています。
英語の分かる方は、読んでみてください。
では何が間違いなのか、実験内容、結果と確認しましょう。
メラビアンの法則の実験内容
まずは、この法則の元となった実験を紹介します。
話し相手の言葉と態度が一致しない時に、言語情報・視覚情報・聴覚情報のどれを重要視するのか。これを探ろうとした実験でした。
その際の態度とは、「好意・嫌悪・中立」の3つです。
実験では、
1 好意・嫌悪・中立を表す言葉(好意ならLove、Honyなど)を用意し、
2 好意、嫌悪、中立のそれぞれのイメージで用意した言葉を録音します。
(Love・・・と甘くささやく感じ、です。)
3 その録音データを、「好意・嫌悪・中立」を表す表情の顔写真と共に、被験者に聞いてもらう。
というプロセスを経ました。
3の時には、言葉や態度と顔写真を矛盾させて組み合わせます。
例えば、「LOVE」と言っているのに、言い方は淡々と、顔は怒っている
という組み合わせです。本来は、甘い言葉は、ささやくような言い方と、笑顔とともに伝えられるもの。これが、矛盾が発生している状態です。
メラビアンの法則 実験結果
上記の実験で、被験者が好意・嫌悪・中立のうち、どの感情を受け取ったのかを確認しました。
様々な矛盾する組み合わせを検証した結果、
7%の被験者が言葉から好意を受けとり、
38%の被験者が声の印象から好意を受けとり、
55%の被験者が表情(写真)から好意を受けとった
というような結果がでています。(数字は当然、組み合わせごとにばらつきます)
そして、それらがご存知の通り
言語情報(バーバルコミュニケーション) 7%
聴覚情報(ノンバーバルコミュニケーション) 38%
視覚情報(ノンバーバルコミュニケーション) 55%
と、整理されて、広がっていってしまったのです。
メラビアン本人の忠告
この実験の重要な前提は
・好意などの「感情」「態度」に関するコミュニケーションであること
・矛盾した情報を与えていること
です。
つまり、ビジネスコミュニケーションではないのです。
メラビアンご本人も先ほどの記事で、
原文:Unless a communicator is talking about their feelings or attitudes, these equations are not applicable .
発信者が自分の感情や態度について話しているのでない限り、これらの方程式は当てはまらない(新井訳)
と、しています。
メラビアンの法則の間違いが広がった理由は?
では、なぜこんな解釈が広がってしまったのでしょうか?
おそらくですが、
・紹介する側にとって都合の良い解釈だった
・大元の情報を確認しなかった
ということが原因かと思います。
もちろん、お客様から「どんな印象を持たれるか」は非常に重要です。
しかし、ビジネスにおいて言葉が7%なハズがありません。専門性が高いほど、その言葉の内容への信頼は高まっていきます。
なお、第一印象に関する研究は世界でされていますので、それについてはまた、別の機会にご紹介いたします。
まとめ
いかがでしょうか。もしかしたら皆さんも、間違った情報を伝えていた・・・とびっくりしたかもしれません。「感情や態度に関することでない限り、実験結果は該当しない」とメラビアン自身が言っていることに、私も驚いています。
世の中のセールスや人事に関する情報には、こうした誤解に基づくものが多くあります。ぜひ正しい考え方、情報を収集してください。
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