売れる商品が欲しい、というのは多くの企業、そして営業が思っていることだと思います。
そこで今回はヒットを生み出す商品開発プロジェクトの進め方として、ガリガリ君の事例を紹介します。
商品開発は、広い意味でのマーケティングに含まれる概念です。自社のマーケティングの参考にしてみてください。
ガリガリ君について
ガリガリ君とは?
ガリガリ君をご存知ない方は少ないでしょう。
年間4億本という販売実績を誇り、他社の主力商品より2倍以上も売れている、メガヒット商品です。
赤城乳業という会社が開発、販売しています。
坊主頭のキャラクターが目印ですね。
ガリガリ君の商品としての特徴
なぜ、このガリガリ君が売れるのでしょう?特徴面から考えてみたいと思います。
まず最初に、
ガリガリ君は美味しいですか?
と言われると、どう感じるでしょう?
私の意見は「確かに美味しいですが、一番美味いというわけではありません。味でいうと、ハーゲンダッツの方が好き」です。
皆さんの意見も様々だとおもいます。他にも、美味しいアイスはあります。
では、「価格が安いのか?」と言われると、どうでしょう?
確かに安いです。しかし、他に安い商品もたくさんあります。
つまり、価格面でも、本体価値でも、優位性の高い商品とは言い難いのです。
しかし、この商品は他社のアイスの2倍以上、売れています。
そうすると、付帯価値で売れているか、フレキシビリティーで売れているか、あるいは関係性で売れているか、です。
ガリガリ君の商品開発
では、売れている理由を、商品開発の点から考えてみましょう。
実はこの赤城乳業という会社、他の会社と商品開発の流れが大きく違います。
顧客の声を反映する開発フロー
ポイントは「お客さん理解」です。
普通、商品を開発する時は、いくつかの部門が「分業制」で行います。
例えば、
マーケティング部門がお客さんの声を聞いていきます。
インタビューをしたり、市場調査をしますよね。
その結果を企画部門に伝えて商品のコンセプトを作り、開発部門が具体的な形(アイスクリーム)にしていきます。
またマーケティングの戻し、テスト販売をする。その結果や生産体制の見直しをし、工場の現場担当者へ引き渡して生産を開始、そしてまたマーケティング部門に戻して販売戦略や広告を活用して売っていきます。
多くの会社が、このように分業体制を敷いています。
メリットは効率です。大量に生産する、コストを押さえることができる、そして、各部門の専門性が発揮されやすくなります。
しかし、デメリットもあります。
部署を移動することで顧客の声を忘れていき、徐々に「作ること」が目的になりがちです。
効率や、生産が目的となり、商品改良がなされます。最初に聞いたお客様の声が、いくつかの部門を経ていくうちに変化していき、完成時には全く求められないものになったりします。
一方、赤城乳業では違います。
1人の責任者が、開発~製造までの流れを一貫して管理しています。
これにより、新規開発にあたり顧客の声が反映されます。
結果、顧客が喜ぶものが出来上がりますよね。
実際ガリガリ君は新しい商品を出し続け、ヒットを維持しています。
アイディア1000本ノック
赤城乳業では、ヒットを生み出すためにある試練があります。
それは、アイディア1000本ノックというもので、商品開発アイディア1000本とにかく出し続けるというもの。
実際に1000本に到達するかはわかりませんが、とにかくたくさん出します。
多くのコピーライターや開発者が口を揃えて言うのは、よいアイデアは最初から出てこない、というもの。とにかく大量に出していく中で良いものに巡り合います。
それを地で行くのがこの制度です。
担当の方は相当大変だと思いますが、、、、
ガリガリ君のマーケティング SNS
ガリガリ君のマーケティング施策は非常にシンプルです。
それは「ファンを楽しませる」ことだと言えます。
これまで50種類以上のフレーバーをだすことで消費者を飽きさせず、何度も購入頂くことを狙っています。
またそのフレーバーも「本当に美味しいの?」と思われるようなものを提示することで消費者が買うこと、食べることを楽しめるようにしています。
このマーケティングはSNS普及に伴い広がっています。
フレーバーの意外性、面白さ、そしてSNSを通じた顧客との接触を増やし、大人のファンを獲得しています。
ガリガリ君のマーケティング SNS以前
それまでもTVCMを通じてキャラクター認知を上げ、価格面で「高くない」こと、子供をターゲットに販売をしてきました。
歌とキャラクターの見た目、フレーバーを通じて小学生を狙ってきた時代があります。
広く見ればお菓子のジャンルに入りますから、子供をターゲットにすることはある意味当然です。
新しい味の募集やプレゼントなどはしてましたが、その点は他社と大きな違いはないと言えます。
当時はどちらかというと、マーケティングとしてはテレビや雑誌広告でターゲットユーザーに働きかけて、営業努力で取り扱い店舗を増やしたそうです。
まとめ 商品開発の学び
「顧客との距離」を意識して近づけること。
これは、意識しておかないと、どんどん離れていってしまいます。
特に、優れた技術を持っている企業、人ほど、顧客との距離が離れてしまって気がつかない、という傾向があるように感じます。
よく「これは絶対に売れる」と思って出した新商品が全く売れなかった…なんて話を聞きます。これは、顧客との距離がかなり離れているということかもしれません。
その商品が良いか悪いかを決めるのは、顧客であって、作り手ではありません。ぜひ、自社なりのリサーチと、顧客と接触する頻度、深さを保ちながら事業を進めてください。
トレーナビリティーでは、上記の概念をより詳しく解説し、かつ現場で使えるようにするための研修を用意しています。
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