今回はオンライン会議でのファシリテーションスキルについて紹介します。
オンライン会議には、人が同じ場所で顔を合わせておこなう通常の会議とは違うポイントがあります。
オンライン会議をどのように進行すれば良いのか、進め方で気を付けるポイントは何か、ファシリテーターに求められる力を紹介します。
オンライン会議と通常の会議の違い
オンライン会議は通常の会議と違い、パソコンあるいはスマートフォンの画面上で顔を合わせます。つまり、参加者一人一人が、どこで何をしているかは分からないのです。
通常は同じ場所にいますから、参加態度まで見られてしまいます。しかしオンライン会議ではそれが分かりませんから、別の仕事をしながら、あるいはマンガを読みながら参加することも可能です。
また、通信環境、機器の精度によっては、音声や映像の途切れが発生します。こうなると会議はスムーズには行きません。
オンライン会議の進め方(進行のコツ)
ではオンライン会議をスムーズに進めるための、進め方のコツを紹介します。
事前の資料共有
できれば事前に情報を共有しましょう。会議中に「画面共有機能」をつかって共有することもできますが事前共有がお勧めです。
理由は、人は情報を得てすぐに意見を出せるわけではないからです。事前にチェックしておくことでその人なりの意見が出やすくなります。
事前のアジェンダ共
資料と同様に、事前に時間の使い方や議題を共有しましょう。それだけで、考えて参加する、という行動を促すことができます。
もし、「漠然と話がしたい」なら、その旨を伝えておく必要があります。
これまでも「とりあえず会って話そう」という生産性のない会議がありましたが、ダメな会社は、それをオンラインでも行おうとします。結果、ただ時間が過ぎるのを待つだけ、、、という状態になりかねません。
会議開始時のアジェンダ共有
会議をスタートする際も、アジェンダを共有しましょう。
当日は、時間割のイメージに加えて、どこがメインなのか、もし時間が足りなくなったらどうするか、を先に伝えておくと良いでしょう。
例えば、
アジェンダAに20分、Bは20分、Cは20分使います。たぶん、一番重い議題はBです。だからBの話が長引いたら、Cについては次回に回します。
というイメージです。こうすることで、参加者がイメージを共有し、それにそって進めようとしてくれます。
議論は少人数で
意見を確認する、議論を進める際には、2人~4人程度でグループを組みましょう。
人は、少人数の方が、意見を言いやすくなります。オンライン会議の場合は「ただ参加しているだけ」になりやすいので、積極的に少人数グループを作り、議論を促しましょう。
ブレイクアウトルーム、という機能を使うことで少人数グループに分けられますので、活用してください。
イメージとしては、議論を中心とした会議であれば、30分の内、10分はブレイクアウトルームを使って個々人が話す時間を設けるようなイメージです。
議論をしたことはチャットでメモ
グループでの議論については、誰か一人が簡単なまとめ役として議論の内容を文字にしましょう。その内容を、全体チャットに記載し、ファシリテーターはチャットに記載された内容を読み上げます。
実際に会議をした人達は、ファシリテーターの読み上げを踏まえて、補足があれば口頭で伝えましょう。
こうすることで、各グループの議論が全体に伝わりやすくなり、かつ記録も残ります。
議論を集めて整理する
グループで議論された内容を全体に共有したら、次はその整理です。共通点を探したり、対比したりしながら、議論の要点をまとめましょう。
その上でファシリテーターが次への提案をします。
イメージとしては、、、
皆さんの議論を聞くと、大きく二つの意見がありますね。
Aという方向性、Bという方向性です。この2つは、○○という点を重視するかどうかで、差が出ています。
どちらの方向になるかは、○○を重視するかで決まりますので、Aを押しているグループの方は、なぜ○○を重視すべきだと思うのかを教えてもらえませんか?
という感じです。これがファシリテーターの重要な役割です。
会議の最後には、議論を見える化する
会議が終了したら、その日話し合った結論、次回に持ち越すこと、各自が行うことをまとめて共有します。
メモ帳でもなんでも構いません。後で紹介するツールを使っても大丈夫です。
これは通常の会議でもやることですが、オンラインで良いのは、その場で作成したものを共有しやすいことです。
その場で作成し、共有し、関係者にすぐメールをしましょう。
オンライン会議の進め方で気を付けるポイント
オンライン会議では、意見の言いやすさが対面会議とは変わってきます。また、参加する際の個々人の状況も違います。ここではどんな点に気を付ければよい会議になるのかを紹介します。
グランドルールを決める
グランドルールとは、会議を進めるにあたり全員に守ってもらうルールのことです。例えば、必ず発言する、人の意見は否定しない、緊急時にはチャットに投稿してから抜ける、などです。
グランドルールをしっかりと決めておくと、それだけでスムーズな進行になります。
注意点は、人の尊厳を無視したルールや、個々の状況を無視したルールにしないことです。
人の尊厳を無視するとは、例えばオンライン会議で自分の部屋を見せなさい、というようなものです。プライベート空間を共有することで距離が縮まることもありますが、それは公開する側が行っても良いと思っているからです。そうすると、どんどん会議への参加が嫌になります。
個々の状況でいうと、自宅で仕事をする場合、家族(特に子供)や宅配便が来るケースがあります。そうしたものを対応させていかないとオンライン会議は成り立ちません。もちろん、子供が入ってこないように細心の注意を払う必要はありますが、限界もありますよね。
テレワーク・リモートワーク環境では、これを許容できるかどうかで生産性や関係性が大きく変わります。
音声チェック・画像チェックをする
会議では、音声チェック、画像チェックを行いましょう。できれば会議が始まる際には毎回行うと良いです。
ファシリテーターがまずは画面上で、全員の画像が見えているかを確認していきます。確認できたら次に、「音が聞こえていたら、手で○を作ってください」と頼みます。聞こえている人は○をやってくれます。
これにより、チェックもできますが、同時にアイスブレイクにもなります。
続けて、全員のマイクチェックです。10秒~30秒程度で、簡単な今の状況共有をしましょう。マイクの確認と同時に、アイスブレイクができます。
質問の仕方を変える
対面会議だと、表情や雰囲気、文脈が伝わりやすいので「ざっくりとした質問」でも考えることができますが、オンラインではなかなか難しいです。
そこで、具体的な質問を心掛けましょう。
具体的な質問とは何かというと、何かを聞く際に
・テーマを絞り込み、
・意見をもらう
・なぜそう思うのかを教えてもらう
という形式と、
・選択肢を与える
という形式があります。
前者の場合は、次のようなイメージです。
×ダメ質問 ここまでについて、何かある?
○OK質問 今までAについて話し合ったけど、その中のBという点について、あなたはどう考えている?理由とともに教えて欲しい。
という感じです。
選択肢を与える形式というのは、イエス・ノーで答えられる質問や、ABCの3つから選んで、というものです。
こうすることで、意見が言いやすくなります。
ツールを用いて、話している内容を可視化しながら進める
対面会議でもそうですが、ホワイトボードに書きながら会話をすると話が進みやすくなりますよね。それをオンラインでも行います。
お勧めはマインドマップを使うこと、付箋紙を使うことです。難しい場合は、テキストを開いても構いません。いずれにせよ、何を話しているかを明確にしましょう。
こうしたツールを使うと、そのまま議事録になります。
マインドマップは誰か一人が使えば大丈夫です。その方が作成をし、その画面を画面共有しながら進めましょう。
お勧めのマインドマップツールは、Xmindです。
https://jp.xmind.net/
無料で使えるツールで、使い勝手もよく、歴史もあるため解説サイトがたくさんあります。
付箋紙を使うこともできます。
オンラインで付箋紙を使うツールが、miroというものです。
https://miro.com/
ホワイトボードを使う、付箋を貼りつけていく、という作業が可能です。
ファシリテーターに求められる力とは
オンライン会議を進める上でファシリテーターに求められる力を紹介します。
議論を要約する力
チャットに書き込まれた内容や、話し合われた内容を要約し、整理する力が必要です。純粋な国語力と、論理力が求められます。
タイピング力
議事録をつくったり、マインドマップを作成しながら進める際には、タイピングの力が大事です。キーボードを見ながらタイピングするのではなく、タッチタイピングができるようになりましょう。
ユーモアが言える力
オンライン会議ではお互いの環境が分かりにくいです。そのため、気を遣いすぎる、緊張してしまうことも良くあります。
簡単なユーモアがあると、少し心が和み、緊張がとけてスタートすることができます。
承認する力
オンライン会議では、対面会議以上に、発言者を承認するということが重要です。というのもノンバーバルコミュニケーションができないためです。
いくら相槌をうつ、うなづく、ということをしても、画面を見ていないこともあります。画面共有をしていると参加者の顔は小さくなります。相槌も、マイクが入っていないと聞こえません。
ですから、承認を言葉にすることが重要です。ありがとうございます、いい意見ですね、新しい視点ですね、など、発言者への承認を行いましょう。
これがあると、「意見をいってもよい」という感覚が、各参加者に醸成されていきます。対面の会議でもそうなのですが、意見をいっても否定されたり、リアクションが薄かったりすると意見を言い難くなっていきます。
オンライン会議ではなおさら、しっかりと承認を言葉にするようにしましょう。
まとめ
いかがでしょうか。デジタル時代では、会議に必要なスキルも変わってきます。
オンライン会議は難しい、やっぱり人と人は顔を合わせないと、、、という気持ちも分かります。しかし、現実的にそうもいっていられない時期でもあります。
距離を意識しなくて良い分、多くの人とつながりやすいのもオンラインの特徴です。ぜひオンライン会議を積極活用し、コスト削減と効率化につなげてください。
トレーナビリティーでは、上記の概念をより詳しく解説し、かつ現場で使えるようにするための研修・コンサルティングを実施しています。
お問い合わせはこちらまでお願いします。