今回は、企業の人材採用・育成に関する2つのニュースから、採用ブランディングについて考えてみたいと思います。
時代の節目
今、法律上も、社会状況も大きな変化が起こっています。ニュースでは、政治的な意味も含めて、次のキーワードがたくさん出てきますよね。
私なりに思うことがありましたので、記したいと思います。
- 人手不足、というけれど
- 同一労働同一賃金、とは
1. 人手不足、と言うけれど
人材不足での倒産が発生しているというニュースを耳にすることも多いと思いますが、実際どんな企業で人が不足なのか、ご存知でしょうか?
6月7日付けで東京商工会議所が調査した結果では、
業界別:製造業・卸売小売業・建設業・その他サービス業の4業種で人が不足
規模別:21名~50名規模、101名以上の規模で特に人手不足
とありました。規模別の情報を見ると、中小企業だと思うかもしれません。また、業界別で見ると肉体労働だね、という印象を持つかもしれません。
私はこうした会社こそ、積極的に人を採用し、育てられるような施策を打ち出し、それをブランディングしていく必要があると考えます。
ここ数年の人手不足と働き方改革法案の推進により、大手企業を中心にテレワークや副業の解禁、定年制廃止等の解決策がとられ始めています。施策は資金力のある大手から進みます。中小企業は、人が来ないと言いながら、投資ができず弱まってくのです。
大手企業は、特に日本のメーカーや建設業界は、こうした中小企業に支えられています。その支えとなる会社がなくなっていけば、ますます企業活動は大変になっていきます。高い技術を持つと言われる日本の会社を残すためにも、中小企業の採用強化は必須です。
また、同じく商工会議所の調査では、回答企業の半数以上が「外国人材の受け入れニーズがある」と答えています。
どうしても日本人に技術伝承したい、という会社もあるかもしれません。しかし、人口減少もあり、外国人材への技術伝承は避けられないと私は考えます。
逆に言えば、これができれば採用チャンスが広がるということです。世界ではまだまだ日本の技術を求める国、企業があります。採用した外国人材が成長し、海外の様々な場所でビジネス発展を担うかもしれません。
2. 同一労働同一賃金とは
もう一つは、同一労働同一賃金に関するものです。簡単に言えば、同じ仕事は同じ給料で、と言うものです。
過去、日本の多くの会社では、正社員だからという理由で将来の期待が給与に反映されてきました。悪いとは言いませんが、正社員より仕事のできる契約社員からすれば面白くありません。
ポイントは、「何と何を同一労働とみなすか?」というものです。
会社側で「スキルレベルごとの労働」を決め、そのレベルにある仕事は同一労働とみなす、と言うものを検討する必要が出てくるでしょう。
会社がスキルレベルを設定し、そのスキルレベルごとに給与が決まります。しかし、現実には社内のスキル統一ができますが、顧客が必ずしもそれを踏まえた料金設定を受け入れるとは限りません。
特に、もし皆さんの業務が、人月で単価計算をするような仕事であれば、なおさらです。顧客は同じ仕事なら安い方を選びます。
ビジネスは企業間の競争ですから、多くの会社は、営業力やスキルが他社よりも高い状態を創ろうとします。(安売りはしたくないですよね)
しかし、良い社員の採用は難しいのです…
2つのニュースの関連性
上記の二つのニュースをどう考えればよいでしょう?
人手不足だから人を増やす、と安易にはいきません。払うお金があるか、他に高い投資対効果が得られる解決策がないか、人に払うならどんな価値を期待するか。企業にはこうした検討をしながらの経営が求められます。
そこでポイントになることが、企業の採用力・育成力が企業の将来を作るということです。
採用が難しい時代。しかし、手をこまねいていたら人はやってきません。じり貧です。採用する力を中小企業こそ高めていき、良い人材が集まる状態を創る必要があります。
解決策は?
では、どうすれば良いのでしょうか。
私は、「人事としてのスキルアップ」と、「企業内のキャリアコンサルティング制度の充実」が解決策の一つになると考えています。
「人事としてのスキルアップ」とは、キャリア形成を理解し、企業の仕事を通じて人の成長を促すことができる会社を作るということです。これができなければ、社員は成長せず、企業競争力が上がりません。
「企業内のキャリアコンサルティング制度の充実」は、社員が成長するためにしっかりと仕事ぶりを振り返り、自発的に取り組める目標を持ち、仕事の内外で成長をしていくための制度のことです。
そして、この活動が企業のブランディングに直結します。
例えばリクルート社の採用ブランドの一つが、「経営者を輩出する」です。学生はそれに魅力を感じて門をたたきます。このブランドが作られているのは、実際にリクルートで多くの社員が独立し、起業し、社会に影響を与えているからです。
学生や仕事探しをしている方が気にすることに一つに、「どんな環境で働き、どう成長できるのか」というものがあります。採用ブランディングでは、ここを外してはいけません。
しかし、社外に「自社でこういう人を育てている」と言っても、実態が伴わなければ意味がありません。「人事としてのスキルアップ」と、「企業内のキャリアコンサルティング制度の充実」を通じて、採用と育成の両方を強化しましょう。
まとめ
いかがでしょうか。人材不足、同一労働同一賃金という2つのテーマは、ともすると企業の存続を左右する大事なテーマです。一方、しっかりとここを踏まえて人を採用し、育てれば企業が飛躍するチャンスにもなると考えます。
法律のスタートは待ってくれません。また、採用も、多くの候補者がいまも皆さんの会社以外を検討しているかもしれません。
一日も早いスタートが求められます。
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