今回は、営業に活用できる心理テクニックをご紹介します!ご紹介するテクニックを活用し、ご自身の営業に活かしてください。
テクニックの活用とは
今回に限らず、テクニックの活用では大事なことが3つあります。これを押さえたうえでテクニックを学び、使っていきましょう。
テクニックだけでなく顧客のことを考える
テクニックの活用は「言い方や話し方」だけの問題ではありません。それを活用する相手のことを分かっていなければ、活用するにしても適切な効果が発揮できません。
例えば価格設定に活用できるテクニックを使う場合、最終的に売りたい価格だけでなく、相手がどこまでであれば予算を出せるのか、どうすれば提供後の満足度を下げないで済むか、などを考える必要があります。
テクニックの使用場面を具体的に想定する
紹介するテクニックは、自分の仕事では「どんな時に」使えるのかを考えましょう。具体的なシーンを描く、相手や時間帯、その時に話していること、前提となる感情状態、ヒアリングしていること・・・などを意識してください。
会って5分後に使えるもの、使えないものなどあります。相手が○○な状態で初めて活用できる、というテクニックがあります。
しっかりと場面を想定してください。
テクニックが活きなかったらどうするか、を想定する
自分としてはテクニックが活用できる場面に遭遇し、使ってみた。しかし、実際には思ったような効果が得られなかった。
こういうこともよくあります。そうした時、どう対処するでしょうか?テクニックを使ったことで相手の感情が良くも悪くも変わっていることを前提として、次にどうするかまで想定すると成果が大きく変わります。
アンカーリング
ではテクニック紹介に入っていきましょう。今日ご紹介するテクニックの「大元」としてアンカーリングというものをご紹介します。
これはテクニックというよりは効果に近いのですが、これが分かっていると次に紹介する2つのテクニックが活用しやすくなります。
アンカーリングとは
アンカーリングとは、「最初に提示した情報」によって相手の印象が決まるというものです。アンカーとは錨のこと、海に沈めて船が流れないようにするものをさします。つまり、相手の気持ちに「固定的な印象」を与えましょう、というものです。
営業側が意識的に「相手にどんな印象を持ってほしいか」を考えて、情報提示することがアンカーリングのテクニックを使うということになります。
例えば価格であれば「高い」「安い」という印象が、何か持ち運ぶものであれば「重い」「軽い」という印象があります。
人の心理への影響
アンカーリングによる影響は何かというと、アンカーリングによって与えた印象「そのもの」ではなく、その後の「ギャップ」が重要なのです。
「高そう」と思ってから、「安い」と思うのか。
「重そう」と思ってから、「軽い」と思うのか。
一度「重そう」と思ってから荷物をもって、「あれ、軽い」と感じると、それが驚きにつながりますよね。意外と軽い、と思ってもらえると「これなら持ち運びやすい」となります。
逆に、相手に「だいたい15万円くらいかな」と思わせたあとに(期待させた後に)「50万円です」というと「高い!無理!」と思われてしまいます。
このようにギャップが出る時に、それがプラスの印象になるか、マイナスの印象になるかがを決めるのは「最初の印象」です。
Foot in the door(フットインザドア)
では、次にFoot in the door(フットインザドア)というテクニックを紹介します。これはアンカーリングを応用したテクニックです。
Foot in the door(フットインザドア)とは
相手がドアを開けてくれたら足をいれて締められないようにする、という状態をイメージしてください。もちろん、実際に足を挟み、しつこく話をするとクレームになります。ここでご紹介したいのは心理学上のテクニックです。
これは、容易な行為を行うことに 同意(実行)したならば、その後大変な行為も行う可能性があるというものです。ドアに足をいれ、徐々に広げていくイメージです。
相手が合意しやすい、小さな合意を取り続けることで相手との関係性を構築することが可能です。
最初に「簡単」という印象を持ってもらう(アンカーリング)こと、そこから徐々に上げていきます。徐々に上げることで「簡単」という印象からギャップを生まずに、話を進めていくテクニックです。
Foot in the door(フットインザドア)の使い方
例えば、友人から急に「10000円貸してくれ」と言われても、すぐに貸すことはなかなかありませんよね。
しかし、「1000円でいいから貸してくれ」と頼まれたら「それくらいなら」と動くかもしれません。そしてその後、「実は今月ピンチで、もう1000円貸してほしい」と言われたらどうでしょう?多くの方がここで、追加の1000円を出してしまいます。
一度自分は相手にお金を貸しているという事実ができたことで「一貫性の法則」が働きやすくなるのです。
営業では、小さな「いいですよ」という反応がもらえるように会話や商談を組み立てましょう。それが「いいですよといった自分」を作り上げます。
例えば、契約書をもらうまえに、「これは正式な申し込みではないのですが、在庫確保のために申し込み用紙に名前だけいただけませんか?」と伝えてみましょう。そうすると、商談中のキャンセルがぐっと減るはずです。
これはテクニックとしても大事なのですが、「相手が、どんなことだったら受け入れてくれるだろう?」ということを考えることが重要です。これを考えるということは、自分の扱う商品のターゲットのことを真剣に考えるということに繋がります。
Door in the face(ドアインザフェイス)
では、次にDoor in the face(ドアインザフェイス)というテクニックを紹介します。これもアンカーリングを応用したテクニックです。
Door in the face(ドアインザフェイス)とは
Door in the face(ドアインザフェイス)とは、ドアに顔を挟むという意味です。当然ですがこれも比喩で、実際にそんなことをしてはいけません。フットインザドアの逆のテクニックだと考えてください。
フットインザドアが「要求を徐々にあげる」、つまり下から攻めるテクニックに対し、ドアインザフェイスは「要求を下げる」テクニックです。
最初に「これは難しい」という難易度の高い要求をし、次に要求の難易度を下げることで「これだったら」と思わせるものです。
最初に「難しい」という印象を持ってもらう(アンカーリング)こと、そこから一気に下げていきます。下げることで「難しい→簡単」という印象のギャップを生むことが重要です。
Door in the face(ドアインザフェイス)の使い方
例えば、最初に「定価は150万円です」と伝えて、その上で「105万円に値引きします」といわれたらどうでしょうか?すごく安くなった、という感覚を持たれるかと思います。
このように価格という分かりやすい使い方が一般的です。閉店間際のスーパーの値引きシールも同じ原理です。
他にも、自社がやること、できることをたくさん提示し、「すごいな、これはやりたいけど高額になりそうだな」と思ってもらった上で「意外と安い」という金額を提示すれば、同じ効果が生まれます。
つまり、相手に「最初にどんな印象を持ってもらうか」がポイントなのです。
まとめ
3つの心理テクニック、いかがだったでしょうか。
いざ使ってみると、なかなか使えないことも多いです。最初のうちは、テクニックとして使う、ということも重要ですが、その前提として「相手のことを真剣に考える」ということを徹底してください。
研修で取り入れる場合も同様です。テクニックだけを教えず、相手を想定させた上でテクニックの使い方、提示する情報の順序を考えさせてください。
上記の概念をより詳しく解説し、かつ現場で使えるようにするための研修・コンサルティングをご用意しています。
お問い合わせはこちらまでお願いします。
https://t-ability.com/contact-us/