営業ですと、テレアポスキルが必要な場面が多いはずです。
近年では、インサイドセールスといって顧客を訪問せずに電話とWEBで商品説明をするという働き方も生まれました。すごく先進的な営業のように感じますが、訪問ではなく電話をしてアポイントを貰って、電話で説明をすること、またはそうした組織を指す言葉です。
詳しい説明はここでは割愛しますが、昔のテレアポ部隊とは、「電話する」ということは同じでも、目的やミッションが少し違ってきていると感じます。特にうまくいっている企業ほど、明確に違います。
一方、インサイドセールスという単語を、昔でいう「アポ取り」だけを行う部門のことを指す場合もあります。アポ取り、クロージングまで行うケースなど様々ですが、いずれにせよ今後も、テレアポや電話でのコミュニケーションスキルは重要なスキルとして残るということです。
※インサイドセールスの詳しい説明は「新しい分業・協業の形 インサイドセールスの目的とポイント」をご覧ください。
そこで、今回はアポを取ることを目的としたテレアポスキルの基本として、今回は前提挿入というものをご紹介します!ぜひ活用してください。
心理学を活用した前提挿入とは
前提挿入とは、相手に何かを伝える際に、さりげなく前提となる情報を組み込むテクニックです。
例えば、お客様がいらした時に、「コーヒーと紅茶、どちらがいいですか?」と聞きますが、これは「飲み物をだす」「飲み物を飲む」ということが前提になっています。
このように「~~する」「~~である」という状態を前提として、その上での話を展開していくテクニックが前提挿入です。
前提挿入が効果的な理由
前提挿入が効果的なのは2つの理由があります。
1つは、相手との自然な会話のなかでこちらの要望や想いを伝えていくことができるからです。
営業であれば、自分の伝えたい情報はたくさんあるはずです。それを一つ一つ説明していては時間が足りません。特にアポイントをもらうという電話であれば、実際の時間は3分程度、長くても5分くらいで済ませることになります。
スムーズに話を進めるためには、前提を作りながら話を進めなければうまくいきません。
もう一つは、前提挿入をすることで伝えたい情報を、スペックや特徴としてではなくメリットとしてイメージさせることも可能だからです。これが出来れば、相手に商品や会社の魅力が具体的に伝わるようになります。
※詳細はこちらをご覧ください(営業研修でスキルアップする2つのポイントとは?)
前提挿入の種類と実際例
心理学テクニック 前提挿入1 ネクストチョイス
ネクストチョイスとは、挿入したい前提の次にある選択肢を用いることで、その選択肢のどちらに転んでもこちらの意図する結果に繋がるようにする方法です。
例えば営業で、アポイントをもらいたいのであれば
「もしそちらにお邪魔するなら、水曜と金曜だとどちらがご都合がよいですか?」
という聞き方がいいでしょう。
これにより、水曜でも金曜でも「アポに行くこと」が前提となります。
他にも「お支払いは、カードと現金のどちらをご希望ですか?」と聞くと、契約することが前提となります。テレアポの例とは変わりますが、車を販売するなら、「どちらの型だとご自宅で駐車しやすいですか?」と聞くと、購入が前提となります。
もちろん、これでそのまま必ず「決定」になるわけではありません。大事なのは、自分が使っている、購入している状態を何度も想像させることがポイントです。
通常、前提挿入というとこのネクストチョイスのテクニックだけを指す記事や研修会社が多いのですが、それだけでは人は動きませんし、先ほどあげた本質である「想像させる」ができなければ効果が出ません。
なお、このネクストチョイスのテクニックを「ダブルバインド」と紹介する記事や研修会社もありますが、正確ではありません。ダブルバインドとは、2つの選択肢が矛盾しており、そのどちらをとっても自分にデメリットがある状態を指します。
例えば上司から「何かあったらすぐ相談しろ」「まずは自分で調べなさい」と言われたことがある人もいるでしょう。この2つは矛盾していますよね。そして、相談したら「調べなさい」と言われ、調べていたら「時間かけてないで相談しろ」と言われる。。。。というような状況を指します。
心理学テクニック 前提挿入2 フューチャーパスト
未来と過去、という意味の単語ですが、これは何かというと、時間をずらした話をすることで相手に前提を伝えていくというものです。
例えば、生命保険のセールスの定番トークで「何かあったら、ご家族は生活できますか?」というものがあります。これは「何かある」という未来に時間をずらし相手にその状況を想像させるものです。
このトークに続けて「将来のことをしっかり考えられたらと思うので、よろしければ水曜か木曜に説明を・・・」と続いていきます。アポイント設定ではダブルバインドを使いましょう。
他にも「お邪魔させて頂く場合、当日までにこれは調べておいてください」ということで、「会うこと」が前提になります。
テレアポの例ではありませんが、洋服であれば「会社にこれを着ていったら、なんて言われますかね?」ということで、「会社に着ていく=購入する」を想像させられます。
心理学テクニック 前提挿入3 アウェアネス
アウェアネスとは、思考に気づき、意識を向けるという意味です。テクニックとしては、「分かっている」「知っている」「気づいている」という単語を用いることで、その前に伝えた内容が前提に変化するというテクニックです。
例えば「今赤色が大変人気なのはご存知の通りです、ですのでもし赤を候補にされていたなら早めにご決断頂いた方がよいでしょう」ということで、「赤が人気」で「購入」することが前提となります。
「この商品には大きな可能性があるということに、お気づきですか?」と伝えることで、その内容はともかく「可能性がある」ということが前提になります。
このアウェアネスのテクニックは、商品もそうですが、相手の良いところを認める際に活用すると大変効果があります。
例えば「お気づきだと思いますが、この商品は、使う人を選びますよね。」と伝えることで、相手に対して使うことがふさわしい会社、人であると伝える効果が生まれます。こういわれて悪い気はしません。
ですから、アポイントを取る際も「ふさわしい方に案内に行きたい」というトークを進めていくのです。
例えば、「日本の大手トップ1000社のような会社でないと、使いこなせないと思います。」ということで「あなたは素晴らしい会社だ」と意識させるようなトークが考えられます。
まとめ
いかがでしょうか?相手との前提づくりがうまくいくと、その後のトークが変わるイメージがつかめたのではないかと思います。
「~~する」「~~である」という状態を前提として、その上での話を展開していくテクニックが前提挿入ですが、これができると、相手の視野が変わるのです。
まずは、テレアポのアポ取りの際の時間調整のために、その後は、テレアポ内で簡潔に商品のメリットを伝えるためにトークを作ってみてください。
上記の概念をより詳しく解説し、かつ現場で使えるようにするための研修・コンサルティングを用意しています。
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