自社で営業研修カリキュラムを作成、見直す際に、最低限押さえるべき4つの注意点

営業研修を作る、見直す際に注意しなければならないポイントがあるのですが、多くの企業ではあまり知られていません。そこで今回は自社の営業担当、営業マンを育成するための研修において、カリキュラムを作成、見直しする際の4つの注意点についてご紹介します。

多くの会社で営業研修を監修していると、講師や研修担当が一生懸命作成したのに研修効果が出ていないケースが散見されます。

注意点を無視してしまうと、せっかくの人材のスキルアップのスピードが遅くなるばかりか、適切な売上も上がりません。つまり成果がでにくいのです。成果が出なければ仕事をしている本人も楽しくありません。営業の離職の原因にもなります。

法人営業でも、個人営業でも最低限押さえるべきポイントは同じです。

以下、こんな営業研修は要注意!というポイントと合わせて自社の営業研修を見返してみてください。

  1. 実務の流れに終始している
  2. ツールやルールの情報に終始している 
  3. 営業スキルの裏付けがない
  4. 営業が自分で考える余地がない

それでは、一つずつ見ていきましょう!

1. 実務の流れに終始している

その会社における「営業の流れ」を紹介しているだけの研修は要注意です。具体的には、その会社の営業プロセスを紹介し、そのステップで何をするかを紹介しているだけのものではいけません。

ルート営業のように、決まった顧客への訪問が中心となっている企業でこういった研修が多いように見受けます。

例えば、テレアポを紹介する際も・・・

「顧客リストの中から順を追って連絡し、アポをとっていく。トークは○○スクリプトを使用する。アポが取れたらカレンダーに入力し、上長に報告メールを入れる」という具合です。

「アポを取る」という行為や、社内の手続きは分かりますが、どのようにとるか、アポの目的設定、売るための顧客への最低限の情報提供等が分かりません。

また、各ステップですべきことは、実際はお客様の状態によって変化します。お客様の心理状態の変化、事業状態の変化という背景が分からなければ営業は対応できません。

通常、こうした知識は徐々に身についていくものです。3年5年と経験を積むとある程度慣れてくるものです。「慣れ」によって身に付いたことは「言語化」が難しく、結局教えることが難しいのが実際です。

またその人なりの「具体的な方法やトーク」は教えることができますが、なぜそれが有効なのか、どんな時に有効なのか、どんな顧客に有効なのかが不明瞭なため、会社のノウハウになりにくいのが実情です。

2. ツールやルールの情報に終始している

営業研修、と言いながら、会社内における営業のルールやツール、システムの使い方を紹介しているだけというものがあります。
※実際は、「1.実務の流れに終始している」という研修と組み合わさって、研修構成されていることが非常に多いです。

営業担当が見るべき社内のイントラの情報、パンフレットの使い方、見積りのルール、社内の稟議申請のルール、セールスフォース等のCRMの利用方法、入力タイミングや入力すべきこと等、営業が知るべき「社内の話」に終始しています。

もちろん、必要な情報です。しかし、これでは営業力の向上にはなりません。こうした情報提供をするのであれば、その背景にある考え方をしっかりと伝える必要があります。そうしなければ、営業に「義務」を押し付けるだけで、結局守られないことになりかねません。

3. 営業スキルの裏付けがない

セールストークやパンフレットを用いたロープレ等をしていても、なぜそれで成果が出るのか裏付けがない研修があります。

成果が出ているのであれば何かの根拠があるはずです。大事なポイントは、その根拠を言葉にすることです。そうしなければ、営業担当は、教えられたことを繰り返すだけで、売れるか売れないかは運次第という結果になってしまいます。

提供している方法がどんな顧客に対して効果があるのか、なぜ効果があるのか、どの程度効果があるのか、をしっかりと提供側で把握しましょう。そのスタンスがなければ、会社で提供する研修が進化していきません。

こうなってしまう研修の背景には、「売れる営業マンが言っていること、行っていることだから、正しいのだ」という思い込みがあるケースが多いように感じます。

売れているということは、何かしらの理由、工夫があるものです。売れている営業、トップセールスの方の当たり前ですから、きっと重要なポイントが隠されているのだと思います。

しかし、背景が説明できない、理由が説明できないということは、その営業マンが「感覚的に」やっているということです。もしかしたら、その人の性格、思考の特性が色濃く出ており、他の人には合わないかもしれません。
※コンピテンシーの弊害というと言いすぎかもしれませんが、、、

しっかりと言語化し、営業スキルに裏付けをしましょう。

4. 営業が自分で考える余地がない

最後が、「この通りやりなさい」という営業研修です。一定の効果が見込めるスクリプト、ツール、リスト等を渡して、それを「忠実に守ること」を教えます。これは一定の効果が得られますし、採用力が多少弱くてもカバーすることが可能です。

しかし、「この通りやりなさい」は、一定以上の効果がでない方が続出します。考える余地がなく、また考えることをNGとするマネジメントとセットになります。工夫した営業がいても、その工夫を周囲に伝えることはあまりありません。

また、「この通りやりなさい」というマネジメントも、昨今では問題となるケースが増えています。会社へのエンゲージメントが低い、ロイヤリティが低い、協働感覚が低い、等々、人事的な観点からはあまり良いとされません。場合によってはパワハラとされてしまうこともあります。

ただ、繰り返しますが未経験者を一定のレベルに引き上げる効果はあります。ですから一定レベルまで来た人に、さらに考えさせ、工夫させ、それを取り込むというサイクルがあれば問題ありません。

まとめ

いかがでしょうか。4つの注意点を、よくある効果の出ない研修とセットでお伝えしました。

  1. 実務の流れに終始している
  2. ツールやルールの情報に終始している 
  3. 営業スキルの裏付けがない
  4. 営業が自分で考える余地がない

自社で営業研修を作る際は、この4点を意識しましょう。

営業に必要な研修内容は、様々なものがあります。スキルとルール、ツールのバランス、そして自社のマネジメントとの相性等、色々なことを考えてよい研修にしてください。

 

トレーナビリティーでは、上記の概念を踏まえた営業研修の内製化サポートを実施しています。ご不明点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

https://t-ability.com/contact-us/