研修効果を高めるための、営業研修の資料(教材、テキスト)の効果的な作成方法 商談編

営業研修の資料(教材、テキスト)は、研修で使って終わりではありません。受け取った社員が、その後も自分の業務のために何度も見返すものになっている必要があります。

多くの企業では、研修資料は研修で使われて終わりです。その結果、研修で習ったこと、教わったことを、大半の社員が忘れていきます。これでは研修効果が出るはずがありません。

今回は営業の「商談」における営業研修の資料(教材、テキスト)について考えていきたいと思います。
※基本となるポイントは「研修資料の作り方 基本編」をご参照ください

何度も読み返され、営業に教えたことがしっかりと浸透していくためにも、何度も見返す価値がある資料(テキスト)、見返すインセンティブがある資料(テキスト)、見返す必要性のある仕組みを考えて頂ければと思います。


見返す価値がある資料(テキスト)とは?

営業にとって、見返す価値がある資料(テキスト)とは、どんなものでしょうか?

それは「見返すことが成長・成果に繋がる」テキストです。

具体的には、商談の進め方、商談を進めるための具体的なシナリオとスムーズに進めるためのトーク集など、商談という「成果に直結する場」で使える内容になっていることが重要です。

当然ですが、商談中は資料(テキスト)を見返すことはできません。ですから、営業が記憶し、自由に使いこなせるようになって初めて意味があります。

営業経験が浅い方々にとって特に大事なのが、「聞きたい、聞かなければいけないのに、聞きにくい項目」のそれぞれをどう聞くのか、ということでしょう。

営業上必ず聞かなければいけない項目に、予算、担当者の権限、ニーズの有無、購入タイミング、競合アプローチ状況といったものがあります。(これらを総称しBANT-Cと呼びます。詳しくは「営業が絶対聞くべきBANT-Cとは?」を参照ください)

これを、どう聞くかという時に迷ってしまう方が非常に多いです。「相手にどう思われるか考えなくていいから、聞けよ」と思ってしまう上司も多いでしょうが、心理的にストップがかかっているのが実情です。

例えば「ニーズありますか?」とストレートに聞いてもいいのですが、それが資料(テキスト)に書いてあるだけで、営業は安心して行動できるものです。

とはいえ、「ニーズありますか?」とストレートに聞くと答えが「ない」となってしまうことを恐れる気持ちも出てくるでしょう。

そうした時は「○○という状態をつくることに、ご興味はありますか?」と聞き、具体的な課題や予算感から聞いていけば比較的スムーズに進めることが可能です。

こうしたちょっとした言い方、テクニックがTipsとして数多く掲載されているテキストですと、営業は見返すようになっていきます。

社内には、きっと様々なTipsがあるはずです。そうした情報を収集し、資料にしていきましょう。


見返すインセンティブがあるテキストとは?

「やる気」に火をつけるための報酬のことをインセンティブと言います。もう少し難しい言い回しをすると、意欲向上や目標達成のために与える刺激、です。人が行動する際の欲求を刺激し、引き出す誘因となるものです。

では、何がインセンティブになるのでしょうか?私は「承認」「賞賛」をインセンティブにすることをお勧めします。

例えば、「商談」をスムーズに進めるために必要な考え方の一つに、「人のタイプ」があります。
※詳しくは「営業研修で取り入れるべき、人のタイプ分けで関係性を深める法則 コミュニケーションの4分類」を参照ください

この「人のタイプ」ですが、どんな人も100%その通りに動くわけではありません。色々なパターンが当然あります。人によって見えやすい、見えにくいということもあります。複数のタイプの特徴を持つ人も多くいます。

では何が大事かというと、その経験がストックされることです。

  • ずっと寡黙な感じだったけど、この一言で話をするようになった
  • 何か話に集中していないと思ったら、やっぱり上司の決裁がおりなかった
  • このキーワードが出てきた時は、大体他のチームからどう見られるかを気にしている

このような形で、自分の経験を蓄積していきます。これが先に述べたTipsにも繋がります。これがたくさん残っている社員、言語化出来ている社員を評価したり、褒めたりして彼らにとって「ストックしてよかった」となるようにしましょう。

自分が記録したことがプラスに働き、承認や賞賛に繋がる。それは評価かもしれませんし、翌年のテキストに反映されることかもしれません。周囲のメンバーから、すごいな!と言われることかもしれません。

なお、この考えを浸透させようと思ったら、しっかりとチーム内でお互いに相談し合う、教えあうことが当たり前になっていることが重要です。資料を変えれば全てがよくなるわけではありません。資料をきっかけに文化を創りましょう。


見返す必要性のある仕組みとは?

簡単に言えば、見返すという行動が組み込まれたルールや制度を作るということです。つまり、資料の善し悪しではなく、会社としてのルール化が重要なポイントです。

商談であれば、定期的なロープレや振り返りの際に活用できる資料(テキスト)にすることが重要です。

営業の行動のうち、電話の本数や会話内容、商談件数、売上は簡単に管理できます。しかし、商談中の情報はブラックボックスです。商談がうまくいったと営業本人が思っていても、お客様の満足度が低い、それは上司の実力だったら簡単に分かる、ということがよくあります。

ですから、営業の成長のためには「商談内容を丸裸にする」ことが必要です。

そのためには、ロープレです。顧客情報を整理し、上司や先輩がお客様役となってロープレをします。できなかったこと、使うべきだったテクニックは資料(テキスト)に書いてあります。読み返して、練習しなければ成長しないのです。

そのための機会、チャンスをたくさん作りましょう。

私が営業新人の頃、リクルートでは「ロープレマラソン」というものがありました。顧客の状態やそれに応じたスキルごとにレベルが分かれており、合格しなければ次のレベルに勧めません。

レベルをクリアするごとに、上司のハンコが押されていきます。全部たまったら、晴れて合格・一人前というわけです。

また新卒で入社したワークスアプリケーションズの営業部隊では、商談内容のレビューに相当の時間を掛けていました。てにをは一つまで細かく確認し、上司がアドバイスをしていました。

商談内容を丸裸にするということは、このように具体的に再現させるということです。それを蓄積していく場所として資料(テキスト)を使うことで、必要性のある資料(テキスト)になるのです。


まとめ

いかがでしょうか?
営業研修の資料、教材、テキストを作成、見直しをする際のポイントをご紹介しました。

  • 見返す価値があるテキスト
  • 見返すインセンティブがあるテキスト
  • 見返す必要性のある仕組み

ぜひ、良い営業研修にし、社員の成長を促進させ、業績アップしてください。

 

この3点を既にやっているが研修が成果に繋がらない、という場合は人事制度や文化上の課題も考えられます。分からないことなどありましたら、お気軽にご相談ください。

また、上記の概念をより詳しく解説し、かつ現場で使えるようにするための研修を用意しています。

 

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